~ダイバーシティとは何か/何のためのダイバーシティか
日経ビジネスオンラインに、12月24日付で
と題された記事が掲載されました。
ダイバーシティ推進担当ならずとも、働く女性としては無視できないこの記事、
良く内容を読んでみると・・・・
・ダイバーシティには「タスク型人材多様性」と「デモグラフィー型人材多様性」がある
・「タスク型人材多様性」は組織のパフォーマンスにプラスの影響がある
・「デモグラフィー型人材多様性」は、コンフリクトを招きパフォーマンス低下を招く
・「デモグラフィー型人材多様性」のリスクを低減するには、複数要素で多様性を持たせ
対立軸となりうる(男性vs女性/日本人vs外国人/シニアvs若手・・・)属性を
希釈化することである
・「デモグラフィー型人材多様性」が、複数の軸で多様だった場合おいて、
組織のパフォーマンスは向上する
ということで、なーんだ納得、という内容です。
この記事から、いくつかの事が言えると思います。
ひとつは、現在行われている多くの「ダイバーシティ」「女性活躍推進」において、
ことさらに「女性」を強調し過ぎることは組織に緊張を引き起こすということ。
(男性vs女性という対立軸を助長してしまう)
同様に、「出産を前提とした女性活躍支援」を前面に打ち出すことも、
女性内に独身/子供なし女性vs既婚子供あり女性 という対立を生みだすことになるでしょう。
この点において、当社が提唱している「働き方の3つの志向」では
「キャリア観の多様性」という視点を提示し、男性の若手~ミドル~シニア層における
内なる多様性に目を向けさせ、コンフリクトを緩和することができます。
ふたつめは、ダイバーシティの目的・効果に何を置くか?ということです。
これまでも、当社のセミナーでは「女性が活躍すれば利益向上!」という議論は
却って女性活躍推進を進めるべき必然性を見えづらくするとお伝えしてきました。
女性を活躍させればパフォーマンスが上がる、利益が上がる、イノベーションが起きる・・・
女性活躍とは、そんな夢物語のような話ではなく
女性がまともに働けない企業は、まともな採用もできず、優良な人材は流出し、
その結果、他社に比べパフォーマンスが下がり、「負け組」になる
という、大変シンプルかつ現実的な話なのです。
そして、それは「女性」だけでなく、働く女性を妻に持つ「男性」も直面している課題。
母となった女性がまともに働けない会社は、共働きの妻を持つ男性も働けない会社です。
企業の人事担当者のお話を伺っていると、まだまだ残念ながら
「そんなに面倒くさいことを言うなら、男を採ればいい」
という短絡的な発想をされる役員層が確実に存在しています。
そういった方には、女性活躍=利益向上などというおとぎ話ではなく、
負け組一直線のホラーストーリーとして、女性活躍の必然を
理解していただきたいと思います。
【追記】
余談ですが、日経ビジネスオンラインの見出しの付け方からは、
今のミドル~シニア男性(日経ビジネスの購読層)の抱えている
女性活躍推進に対する憤懣、怒りのようなものが伝わってきます。
記事に食いついて読んでもらうための「撒き餌」と考えるようにしていますが、
こういったセンセーショナルなタイトルが読者から求められているという状況が
現在の女性活躍推進の状況の危うさを感じさせます。
”アベノミクスの宴の後”の揺り戻しを最小限にするためにも、
男性vs女性という二項対立をあおらない、
新しい女性活躍推進の進め方を行う必要があると考えます。
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