~数値目標の功罪を考える
日経新聞4月16日(火) 総合2(3ページ)
内閣府と東京証券取引所など全国5証券取引所は
企業で働く女性の活躍ぶりを示す情報の公開を強化する。
全国の証券取引所が上場企業に提出を義務付けている
「コーポレート・ガンバナンス報告書」の中で、女性役員の人数や
役員会における男女別の役割などの情報開示を推奨する。
女性活躍推進の話で必ず出てくるのが、「指標」と「数値目標」です。
管理職比率や産休取得率、退職率etcetc・・・・・
社内外に向けてオープンにしているかどうかは別として、
それなりに「女性活躍推進」を考えている企業であれば、数値を意識していると思います。
とはいいながら、女性活躍推進やダイバーシティというテーマはとかく
利益貢献の直接的な因果関係が明確にしづらく、
そのことが取り組みを遅らせたり、歯切れの悪い施策に陥る一因になっています。
その点からいうと、この「指標の公開」に向けた動きは、少なくとも
『女性活躍推進が進まないと、採用競争力に影響する』
といった「不利益の因果関係」が明確になるため、良いことだと思います。
(株価への影響はまだ限定的なので、今後のなでしこ銘柄の業績に期待したいところです)
一方で、女性活躍推進における「数値目標」の功罪も気になるところ。
大手企業でも、新卒採用の男女比が半々というところはまだ少数です。
いわんや、管理職候補となる主任~係長の年代の採用(10数年前)では、
女性は1~2割、それよりもまだ少なかったという企業も多いのではないでしょうか。
そんななか現在持ち上がっている「2020年に女性管理職を30%に」という目標・・・
現実的な目標なのか?という点に不安が残ります。
新規の管理職登用の母集団における女性比率が30%をはるかに下回る状態、
しかも既存の管理職では女性比率が4~5%程度にとどまっている中で
「管理職全体における女性比率を30%」にしようとするとどうなるか・・・・
本人のキャリアに対する意向、能力、その時の家庭環境等々を無視した
乱暴な(場合によっては無謀な)登用が行われるのではないかと危惧しています。
働き手ひとりひとりの個性・能力を無視した「どんぶり勘定」の登用では
女性活躍とは全く逆の結果になりかねません。
目標があるからこそ、変革が進むのも、事実ではありますが
「女性だからとにかく登用」と、十把ひとからげに管理職昇格を強要することになっては
ダイバーシティも本末転倒では・・・・と思います。
2020年に、女性管理職が30%になるかどうか・・・
それは、私には分かりませんが、その登用機会が働き手の女性ひとりひとりにとって
真に望ましい、よい機会となるよう、微力ながら活動していきたいと思います。
コメントをお書きください