日本の人事部 HRカンファレンス2017春 トークセッション内容全書き起こし(2/4)

いつまでも残業できると思うなよ~働き方改革から始まる人生ポートフォリオ

時間という財産のポートフォリオ設計を考えよう

前原 : 続いて、私の自己紹介をさせていただきます。私は企業の働き方改革やダイバーシティのお手伝いをしているんですが、当社の「ライフ・ポートフォリオ」(図2)という考え方が、川島さんの「ワーク・ライフ・ソーシャル」という考え方と近いと感じています。

 

  私と川島さんとの出会いはちょうど3年前、ワーク・ライフ・ソーシャルという三本柱の考え方

 

▲ 図2 ライフ・ポートフォリオ 投影資料より抜粋


とライフ・ポートフォリオって近いよね!という話で盛りあがりました。川島さんが当時金融系の会社だったので、「ポートフォリオ」という観点でワークライフバランスを考えよう、という点をすぐに理解してくださいました。

 

 私たちが生きていく中で最大の財産は「時間」です。時間を使って向き合ったものが、自分の人生にキャリアや家族との絆、地域社会とのつながりという形で財産として残っていく。そう考えた時に、実は私たち、この時間という財産の使い方にあまりに無頓着ではないでしょうか。

 

 キャリア・働き方をどうするか?という「ワーク」だけ切り出して考えるのではなく、私生活の部分も含めて「時間のポートフォリオ」という観点で捉えてみると、色んなことが可視化されてくる、というのが当社のアプローチです。

 

 ポイントは「時間という財産をどう使っていますか?」「どういう風に配分していきていきたいですか?」ということです。仕事を好むか、好まざるかは別として、生活していくために働く「仕事の時間」は決して少なくない。だとすると、その時間をどう良いものにしていくか?

 「働く力」を育んでいけば、仕事は人生を切り開いていくための一番の武器になっていきます。キャリアのためのキャリアではなく、「自分の人生を良きものにしていくためのキャリア」という捉え方をしてはどうか。そこまで踏まえて、「あなたはどう人生を築いていきたいですか?」という問いかけを通じて、キャリア研修や働き方改革のお手伝いしています。

 

 当社の特徴は、企業経営やキャリアアップを前面に出すのではなく、「あなたの人生をどうしたいですか?」というアプローチで働き方改革につなげるところかなと思っています。

『終わった人』にならないために ~男性こそ、人生の分散投資が必要だ

前原 : ところで、ここで改めて「なぜ、働き方改革が必要なんでしょうか?」と聞いてみたいと思います。

 

川島 : 内館牧子さんの『終わった人』 (※1)というベストセラー本があります。職場と飲み屋だけだった男性が、定年退職して行く場所がない。誰からも声がかからない、地元に友達もいない、妻にどこか行こうかと誘えば「なんであなたと行かなきゃいけないの?」と。妻は学生時代の友人と遊びに行ってしまう。自分がやることがなく、自分の居場所探しをする、漂流老人の話です。

 管理職向けイクボス講演を年間約200本やっていますが、管理職、概ね男性が多い中で、よくこの話をします。「仕事だけでいいんですか?」「職場と飲み屋だけの人生で大丈夫ですか?」と。職場と飲み屋だけの人生だった男性がどうなってしまうのか?

 

 昨年秋に、俳優の別所哲也さんとテレビに出演し、「男性が“終わった人”にならないためにはどうしたらいいか?」というテーマでトークしました。二人の結論は、「現役時代に職場や飲み屋以外の居場所を2~3つ作ること」。家庭・地域・趣味・ボランティア・社会活動・学生時代・故郷等です。女性は結構職場の外に居場所を持っていますよね?

 

前原 : そうですね。男性向け・女性向けともに研修を実施していて感じますが、女性は総じて会社外の自分をしっかり持っています。人生の分散投資が得意ですよね。既婚・未婚、子供の有無に関わらず、お稽古に行ったり、昔の友人と定期的に会ったりしています。

 

川島 : 食事に行ったり、ショッピングしたり、家族で旅行に行ったりもしていますよね。かたや男性はどうでしょう?私はもうすぐ53歳になりますが、この年になると、高校・大学、会社の同期から同窓会の案内が急に増えるんです。「最初のうちは出ていたけれど、つまらないから出なくなった。」という話もよく聞きます。

 なぜかと言うと、「昔どうだった」「愚痴」この話題だけだから。俺は昔すごかった。会社、上司、政治、社会・・・そんな愚痴と40年前の昔話しか出てこない。そしてみんな目が死んでいる。本当に50歳過ぎたおじさんにはそんな方が多いんです。

 

前原 : 怖いですね。付け焼刃で新しいコミュニティーを作ろうとしても自分に引き出しがないと・・・ということなんでしょうね。

 

川島 : そういう人が定年退職して地元の地域活動に加わって来ると、多くの場合が早期撤退になります。なぜかというと、現役時代の有名企業の○○部長という看板を引きずってきているから。「何か手伝ってあげようか?」と上から目線でやってきて、そこら辺の荷物動かしておいてと言われると「なぜ俺が?」となってしまう。地域に入ってきたら、年齢・経験問わず新入社員ですからね。組織内の仕事以外やっていないから、コミュニケーションが取れないし、鎧を取ったあとの”自分の実力”を知らないんです。

 

前原 : 周囲も話を合わせて持ち上げてくれるし、看板を外した素の自分が見えなくなってしまっているんですね。

 

川島 : ある人が「定年退職をしたら麻雀で負け始めた」と言っていましたが、弱くなったわけではないんです。部長だった時代は気を遣って周囲が負けていただけで、自分で気づいていない。「俺は女性とコミュニケーションとれる」と言っても、新橋の飲み屋で話してるだけ。それは商売でしょ(笑)お金払って行けば、当然しゃべってくれますよ。

 地域で子供会やPTAをやってそこでもまれれば、女性とのコミュニケーション能力も自然についてきます。飲み屋のお姉さんと飲んでいても、コミュニケーション能力はつかないですよ。すみません、ちょっと脱線してしまいましたね(苦笑)

 

 

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※1 『終った人』 著者:内館牧子  出版社:講談社

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