日本の人事部 HRカンファレンス2017春 トークセッション内容全書き起こし(1/4)
いつまでも残業できると思うなよ~働き方改革から始まる人生ポートフォリオ
HRカンファレンス2017-春- にて、元祖イクボス川島高之氏と、株式会社ライフ・ポートフォリオの前原はづき氏によるトークセッションが行われました。以下はトークセッション全内容の書き起こしです。
司会 : これよりHRカンファレンス春講演 『いつまでも残業できると思うなよ ~働き方改革から始まる人生ポートフォリオ』 を開催させていただきます。
第一部は、元祖イクボスとして「働き方改革の取り組み」に多方面に活躍されていらっしゃる川島直之さんと、同じく働き方改革やダイバーシティ推進に関する施策を企業に展開しております(株)ライフ・ポートフォリオ 前原はづきさんによるトークセッションです。

▲ 当日の様子。大会場が満員となり、熱気に包まれました。
マクロ環境・経営課題として「働き方改革」に向けた取り組みが進んでいますが肝心の管理職・社員が働き方改革に懐疑的でなかなか変化が生まれない・・・という人事の方々のお悩みが多く聞かれます。
第一部では管理職をはじめとする社員に働き方改革に取り組んでもらうきっかけとなる「人生ポートフォリオ」の考え方について川島さん、前原さんにお話いただきます。
また、第二部では川島さんの図書でも紹介されているタスクマネジメント手法「タスク・ポートフォリオ」についてご紹介します。
ワーク・ライフ・ソーシャルの三本柱で「働き方改革」を実現しよう
川島 : 本日はありがとうございます。川島と申します。1987年に某大手商社に入社した、どっぷり昭和世代のおやじです。当時の栄養ドリンクのCM、「24時間戦えますか?」の舞台になったような会社で、20代の頃は本当に24時間モーレツ社員でした。30年ほど勤め、最後の4年間は関係会社の上場企業の社長を経験ののち、昨年に早期退職しました。
一方、プライベートで19年前に子供が生まれたことが、私の人生、もっと言えば働き方が変わったきっかけです。子供との時間を増やしたいけれども、仕事の成果を下げないためにはどうしたら良いだろうか?と考えたのです。
そして、子育てをしていると自然に地域活動に出るようになり、少年野球のコーチや地元小中学校のPTAの会長もやってきました。最初から目指していたわけではないけれど、結果的に自分の「やりたいこと」と「やるべきこと」を両立させようと思ったら、ワーク・ライフ・ソーシャルの三本柱の人生になった・・・というところです。

▲図1 川島氏資料より抜粋
さて、本日はお伝えしたい4つのテーマがあります(図1)。1つ目が、人生1回だからフルショットで、3倍人生楽しみませんか?ということです。「ワーク」 - 仕事をきっちりやるのは当然のことだと思いますが、「ライフ」 - 人それぞれ色々あります。子供が小さければ子育て中心で当然ですし、子供が大きくなったあるいは子供がいなくても、親孝行・趣味・勉強・健康等、自分事でやるべきこと・やりたいこと沢山ありますよね。
「ソーシャル」 - つまり社会活動、いわゆるボランティアや地域の活動のことです。この中にもやったことがある方もいらっしゃると思います。やったことがある人だけが知っている、素晴らしい見返りがあります。やったことがない人はまだその見返りを手にしたことがない、人生を損している可能性があります。
ワーク・ライフ・ソーシャル、3つのおいしいアンパンを今回の人生で全部食べにいきませんか?来世で食べようと思っても間に合わないですよ、ということです。
2つ目は、私生活の充実が仕事の能力を高めてくれるということです。私自身、ライフやソーシャル、総称して私生活を充実させていると仕事の能力や成果が高まったな、という実感があります。周りにもそういう人が沢山います。家事や育児、地域活動やボランティア、趣味や勉強をやることで視野が広がったり、発想力が身についたり、仕事への段取り力・集中力が高まったり、コミュニケーションの引き出しが増えたり、人としてより魅力的になったり、全て仕事の能力や成果に直結しています。仕事を取るか?私生活を取るか?ではないんです。
3つ目は、管理職向けのメッセージですが、組織の成果を出し続ける、売上や収益を伸ばす、そのために部下の労働時間を増やそう、なんて考えている人もいますが、そうではないです。組織の成果を出す、売り上げや収益を伸ばすためには、増やす対象は「部下の労働時間」ではなく、「部下の満足度」です。満足度の増えた部下は、組織への貢献度も高まります。
部下の満足度はどこからくるのか?それは仕事へのやりがい、将来への期待、そして私生活の充実からくるわけです。
私も管理職から経営者を18年程経験しましたが、ワークライフ・バランスを福利厚生でやったつもりはありません。ワークライフ・バランスは経営戦略としてやっている。組織の成果を、管理職として経営者として成果を出し続けるための手段としてワークライフ・バランスの職場環境を作ってきました。
最後の4つ目のメッセージは、みなさんが私生活を充実させながら、なおかつ仕事や組織の成果を出し続けるためには従来の働き方、働かせ方の延長線ではなく、やり方・考え方を大きく変える必要がありますよね。いわゆるOSを入れ替えるくらいの働き方改革・組織改革が必要ではないかと思っています。